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2009年5月18日 (月)

手も足も

     手も足も

     室いつぱいに投げ出して

     やがて静かに起きかへるかな

<ルビ> 室=へや。

<解釈> ふと机を離れ、手も足も、6畳間のすみずみに届けとばかり投げ出して大の字になり、まもなくしずかに起き上がることよ。

どんな心をうたおうとしたのか、確信を持ってこうだ、と言えるものはありません。「心のしわを伸ばす」歌と解釈してみました。

この歌は前回の「かなしきは飽くなき利己」の歌と同時期の作で、同じく「創作」1910年(明43)5月号の「手を眺めつつ」16首中の1首です。

この歌の前には「こみ合へる電車の隅にちぢこまるゆふべゆふべの我のいとしさ」や「大いなる彼の体が憎かりきその前に行きて物言ひし時」などが置かれています。

「室」は本郷弓町2丁目17番地新井方(床屋喜之床)2階の6畳間。啄木の書斎でもちろん畳の部屋。

机に向かって書き物をしていたか、思索をしていたか、ふと体も心も縮こまっているように感じます。そこで机を離れ、そのまま畳の上に大の字になります。手は左右いっぱいに伸ばし、足も拡げながら壁に届けとばかりに伸ばします。

体がこれ以上大きくならない状態をしばらく保つと、心のしわも伸びた気がします。そこで静かに上半身を起こします。気分がさわやかになった気がします。

そんなリフレッシュの仕方をやってみた、というのでしょう。

板の間や、カーペットの間、あるいはベッドの上より、物のあまり置いていない畳の部屋がこの動作にとって最上でしょう。が、そこまで贅沢は言わないで、ご自分の部屋で効果を試してみませんか。

この評釈にご意見をいただけるとさいわいです。

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