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2010年4月28日 (水)

邦人の顔たへがたく卑しげに(付記)

     

   邦人の顔たへがたく卑しげに(付記)

4月25日のしんぶん赤旗にエッセー「啄木は龍馬の四代目」が載りました。

そのエッセーの最後の方にこう書きました。

ところで最近大江健三郎さんがこう語りかけられた。「私は、いま現在の困難な時代を生きている若い人たちに、加藤(周一)さんのほとんど最後のお仕事となったNHKのインタヴュー番組で石川啄木を強く押し出されたことをいいたいと思います」と。そして氏はこう結ばれる。「『蟹工船』を熱中して読んだ若い人たちに、続けて啄木を読んでいただきたいとねがいます。」
啄木を読もうとする若い人たちにまず歌集『一握の砂』をお勧めしたい。困難な時代を生きる青年のあらゆる心の姿がそこにある。朝日文庫版『一握の砂』は啄木の全編集意図を再現し最新の解説を加えてある。
つぎに評論「時代閉塞の現状」を勧めたい。青年に強権との闘いを呼びかけた希代の名文である。だが解説がないと分かりにくい。グーグルの検索エンジンに私の姓名を入れると、「石川啄木著『一握の砂』を読む」が出てくる。それを開いて「石川啄木韓国併合批判の歌」にリンクすると、その文中で「時代閉塞の現状」の主旨と解説が読める。これを手引きとして欲しい。

非常に大きな反響がありました。わたくしのHP「石川啄木著『一握の砂』を読む」は日ごろ訪問者が少なく、常に10人未満でしたのに、新聞掲載当日は230人、26日は120人、27日は54人の訪問者がありました。赤旗編集局に感謝!

石川啄木を知るには『一握の砂』とともに評論「時代閉塞の現状」は必読ですが、これは、大逆事件後の「真っ黒な反動の嵐」(荒畑寒村)の中で当の政府権力との闘いを呼びかけた文章ですから、書いた自分が逮捕拘禁されないように、載せてくれた新聞が発禁にならないように、非常に神経を使っています。つまり当局が筆者の言い分を読み取れないように書くわけです。したがって読者も読み解くのが大変です。

そう言う文章を書くのに啄木が煙幕に利用したのが魚住折蘆という青年論客の自然主義論でした。「石川啄木韓国併合批判の歌」の中にわたくしが書いた「時代閉塞の現状」の梗概と解説は自然主義関係をほとんど抜いてあります。

これも入れてもう少し詳しく「時代閉塞の現状」を知りたい方は小著『『一握の砂』の研究』(おうふう)の203ページ~をご覧下さい。先行評論「所謂今度の事」の解読から始まって「時代閉塞の現状」の解読、つづいて『一握の砂』の編集過程の分析へと、叙述は展開しています。

小著『『一握の砂』の研究』は出版社に少しありますが、定価が6800円と高いので、図書館で閲覧されるなどしてください。

「時代閉塞の現状」を書いたのが1910年9月上旬、10月4日には『一握の砂』の編集にとりかかりますから、ふたつは内的に深いつながりがあります。わかりやすい『一握の砂』とわかりにくい「時代閉塞の現状」とは、奥深さ、内容の限りない豊かさ、問題提起の新鮮さ等々の点で、実は同じなのです。

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» 啄木は龍馬の四代目 [大津留公彦のブログ2]
啄木ネタ連続投稿です。 龍馬と啄木は実は関係がある。 啄木の父一禎が高知市に晩年を過ごした。 新しく啄木親子の碑が出来たようだが前に高知で公衆電話ボックスの上にに啄木の像があったのを見たような記憶がある。(今調べている時間がない) 「新しい時代を見つめていた所に共通点がある」(石川啄木記念館・山本玲子学芸員) という龍馬と啄木 龍馬は 「日本を今一度せんたくいたし申候事ニいたすべくとの神願ニて候」 と言い 啄木は 「新しき明日の来るを信ずといふ自分の言葉に嘘はなけれど--」 と信じる新しき明日を歌う... [続きを読む]

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