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2010年5月 9日 (日)

或る時のわれのこころを

     

     或る時のわれのこころを

     焼きたての

     麵麭に似たりと思ひけるかな

<ルビ>或る=ある。麵麭=パン。

作歌は1910年(明43)10月13日。初出「精神修養」同年12月号。初出の初句は「今日はふと」。

「焼きたてのパンに似たこころ」なんてどんな心なのか、考えれば考えるほど分からなくなります。したがって以下はいわば当て推量です。ただ見開き4首または1ページ2首に何らかの共通のモチーフがあるだろうというのが、指針の役を果たしてくれるはずです。

啄木の職場・東京朝日新聞社は京橋区滝山町(現在の銀座6丁目)にありました。職場から近い銀座4丁目、たまには散歩を楽しんだ銀座通りの、その4丁目に木村屋がありました。「銀座 木村屋總本店」のHPによると銀座4丁目に店舗ができたのが明治7年、明治15年には木村屋のあんぱんは銀座名物に。明治33年にはジャムパンが大評判になったとか。

「焼きたての麵麭」が木村屋のあんぱんのイメージでいいかどうか、確たる根拠はありませんが、あのピッカピカの皮の、いい匂いのする、あたたかくてうまそうな、店先に置かれた焼きたてのあんぱん、を思い浮かべることにします。

そういうパンに似た心として、晴れやかな心・表に出て人目に触れるのを願う心を考えてみました。

<解釈>ある時の自分の晴れやかな、表に出て人目に触れたいと願うこころを、焼きたてのパンのイメージに似ているな、と思ったのだった。

こう解釈すると、見開き右ページのモチーフが「家にこもる」でしたから、ここで起承転結の転に相当するような歌が配されたことになります。

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