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2011年5月13日 (金)

「我を愛する歌」の研究 10

16-17ページ

     草に臥て     
     おもふことなし
     わが額に糞して鳥は空に遊べり

【解釈】草に寝ころがって、青く澄んだ空を見上げていると、心から雑念が消えた。突然鳥の糞がわが額に落ちてきた。現実に引き戻されて目をやると、糞をした鳥の方は無心に空を舞っているではないか。
     

     わが髭の
     下向く癖がいきどほろし
     このごろ憎き男に似たれば
 
【解釈】この髭の下を向く癖の腹立たしいったらない。このごろ憎らしいと思っている男の髭の癖とそっくりなのだもの。
     

     森の奥より銃声聞ゆ
     あはれあはれ
     自ら死ぬる音のよろしさ

【解釈】森の奥から一発の銃声。誰かが自死したにちがいない。ああ、ああ、自死する時にあの短く乾いた音はぴったりだ。
     

     大木の幹に耳あて
     小半日
     堅き皮をばむしりてありき
 
【解釈】ぼくはある日森の中に行き、大木の幹に耳をあて、ほとんど半日の間堅い木の皮を指でいじりながら、ぼんやりと過ごした。その森の中でピストル自殺する人もあるというのに。

注解】p.16=無心・有心。p.17=森の中。

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