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2011年5月19日 (木)

「我を愛する歌」の研究 12

20-21ページ
     

     何処やらに沢山の人があらそひて
     鬮引くごとし
     われも引きたし 

【解釈】この世には沢山の不遇な人たちがいて、その境遇からはほとんど抜け出せない。だから万に一つの僥倖を願う。くじ引きのような僥倖をつかむみじめっぽい機会があると、その人たちはそこに群がって争う。そんな機会があるなら自分もやはり参加したい。

     怒る時
     かならずひとつ鉢を割り
     九百九十九割りて死なまし 

【解釈】腹が立ってかっかするたびに、鉢を持ち出しては堅い物にたたきつけて、ガシャーンと壊してしまい、ついには999個割ったところで死ねたらよいのに。

     いつも逢ふ電車の中の小男の
     稜ある眼
     このごろ気になる 

【解釈】電車の中でいつもあう身体の小さい男のとげとげしい目つきが、この頃どうも気になる。

     鏡屋の前に来て
     ふと驚きぬ
     見すぼらしげに歩むものかも

【解釈】鏡屋の前まで来て映っていたのが自分だったと分かって不意におどろいた。颯爽とした自分のはずが、なんと見すぼらしげに歩いていることよ。

注解】p.20=暗い世の中のみじめな願望・破壊の快感。p.21=このごろ気になる男・このごろ気にならかったわが姿。

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