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2011年5月 6日 (金)

「我を愛する歌」の研究 6

8-9ページ。
   

   目さまして猶起き出でぬ児の癖は
   かなしき癖ぞ
   母よ咎むな

【解釈】目をさましていながら、布団の中でぐずぐずしている息子の癖は、ぼく自身どうにもならない癖なんだから、母さんあんまりとがめないで。
   

   ひと塊の土に涎し
   泣く母の肖顔つくりぬ
   かなしくもあるか

【解釈】ひとかたまりの土に唾を落として軟らかくし、泣く母の似顔を作った。母に申し訳ないとも思う。自分が不甲斐ないとも思う。またこんなことをしている自分をどうしようもなく情けないとも思う。
   

   燈影なき室に我あり
   父と母
   壁のなかより杖つきて出づ

【解釈】ランプの明かりも消した下宿の部屋にぼくはいる。と、父と母が杖をついて壁の中から自分の方に向かって歩いてくる。
   

   たはむれに母を背負ひて
   そのあまり軽きに泣きて
   三歩あゆまず

【解釈】母が年とって小さくなった現実・ひどく苦労をかけて来た事実から、目を背けて来たのだけれど、うっかりふざけて母をおぶったところ、そのあまりの軽さが私の背中に伝えた。母は老いた、痩せて小さくなった、ここに至るまでにどんなに苦労をかけたことか、いかに大きな恩愛を受けたことかと。一歩二歩、涙がこぼれてもう動けない。

注解】母の歌4首。なお、8ページ脚注参照。

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コメント

近藤先生
 ブログの再開を歓迎いたします。大変なご苦労のことと察しますが、全国の愛好者のため、ご健闘をお願い致します。但し、お具合の悪いときはいつでも中断してください。それが長続きの秘訣ですから。「余市啄木研究会準備会]は健全です。沢辺君(露伴の文学への開眼者の孫)、盛君、みな元気に文学に取り組んでいます。森君は、先生から、「啄木日記(ローマ字編)」を、お送り頂きましたと大感激でした。本当に有難うございました。僕だけが文学と縁のない生活を強いられています。

安達尚男様
ブログ再開への最初のコメントをくださったのが大兄でした。ありがとうございます。あまり無理せずにご助言を念頭におきつつ、続けて参ります。お力添えのほどお願い申し上げます。
「ビバハウス便り」いつも拝見しています。ビバハウスのますますのご発展を祈りつつ。

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