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2011年6月 2日 (木)

「我を愛する歌」の研究 18  

32-33ページ

     死ぬことを
     持薬をのむがごとくにも我はおもへり
     心いためば 

【解釈】心がいたむと、「もう死んでしまおうか」と思ったものだった。持薬をのむと病が一時的に癒やされるように、そう思うと心のいたみが少し楽になるのだった。

     路傍に犬ながながと?呻しぬ
     われも真似しぬ
     うらやましさに 

【解釈】道ばたで犬が大きな口を開けてながながとあくびした。この世の屈託は何もないかのように。私もまねをしてながながとあくびしてみた。犬がうらやましくて。

     真剣になりて竹もて犬を撃つ
     小児の顔を
     よしと思へり 

【解釈】真剣になって竹の棒で犬を撃つ幼児の顔は思いと行いの一致を表出している。いい顔だ。

     ダイナモの
     重き唸りのここちよさよ
     あはれこのごとく物を言はまし
 
【解釈】ダイナモの重々しい唸るような音の心地よさよ。言論弾圧の嵐が吹きすさぶこの時代にあって、ああ、このダイナモのように思うさま発言できたらよいのに。

注解】p.32=窮迫した心・屈託した心。p.33=子供の一途な自己表現(3首目は起承転結の転に相当する役割)・表現の自由への希求。

<ブログをお読みいただくに際してのお願い>

このブログの勘どころは【注解】にあります。いつも【注解】にご注目の上、次の2点を実行してください。

朝日文庫版のテキストに帰って啄木の編集・割付の巧緻を、さらに組版(字体を含む)の妙を味わってください。

【解釈】は【注解】の理解に必要最小限の内容です。【解釈】をほんとうに理解するためには右のマイリストから「石川啄木著『一握の砂』を読む」に行き、「『一握の砂』全歌評釈」の当該歌に当たってください。

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