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2011年6月 4日 (土)

「我を愛する歌」の研究 19

34-35ページ

     剽軽の性なりし友の死顔の
     青き疲れが
     いまも目にあり 

【解釈】剽軽な性質だった友の死顔の、青さの中に浮き出た人生の疲れが、今もはっきりと印象に残っている。友のおどけの裏には人生のやりれない辛さや悲しさがあったのだ。この自分と同じように。

     気の変る人に仕へて
     つくづくと
     わが世がいやになりにけるかな 

【解釈】気の変わる社長に仕えて、つくづく自分の今の仕事がいやになってしまったことだ。

     龍のごとくむなしき空に躍り出でて
     消えゆく煙
     見れば飽かなく

【解釈】龍のように勢いよく力強く大空に躍り出て、もくもくと登りついに消えてゆく煙を見ていると、飽きることがない。

     こころよき疲れなるかな
     息もつかず
     仕事をしたる後のこの疲れ
 
【解釈】何に限らず一日暇なく仕事をした後の心持はたとうるものもなく楽しい。人生の真の深い意味はけだしここにあるのだろう!

注解】p.34=世間での鬱屈・職場での鬱屈。p.35=鬱屈からの解放願望(3首目は起承転結の転に相当する役割)・鬱屈からの解放のひととき。

<ブログをお読みいただくに際してのお願い>

このブログの勘どころは【注解】にあります。いつも【注解】にご注目の上、次の2点を実行してください。

朝日文庫版のテキストに帰って啄木の編集・割付の巧緻を、さらに組版(字体を含む)の妙を味わってください。

【解釈】は【注解】の理解に必要最小限の内容です。【解釈】をほんとうに理解するためには右のマイリストから「石川啄木著『一握の砂』を読む」に行き、「『一握の砂』全歌評釈」の当該歌に当たってください。

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