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2011年6月10日 (金)

「我を愛する歌」の研究 22

40-41ページ

     目の前の菓子皿などを
     かりかりと噛みてみたくなりぬ
     もどかしきかな

【解釈】目の前の菓子皿などをかりかりと噛んでみたくなった。ああ、もどかしい! かりかりと噛めるものならこのもどかしさからちょっとは脱却できように。

     よく笑ふ若き男の
     死にたらば
     すこしはこの世のさびしくもなれ 

【解釈】よく笑いよく人を笑わせる、才能もけっこうある若い男、と見られている自分だけれど、もしここで自殺したらどうなるだろう。「この世」における自分の存在感の希薄さからすれば、死んでも「この世」は何にも思わないだろうな。「少しは・・・さびしくもな」ってくれよ。

     何がなしに
     息きれるまで駆け出してみたくなりたり
     草原などを
 
【解釈】なんという息苦しい時代なのだ。なんだか、息が切れるところまで思いっきり駆け出してみたくなった。それもひんやりとして緑あざやかな草原などを。

     あたらしき背広など着て
     旅をせむ
     しかく今年も思ひ過ぎたる

【解釈】新調の背広などを着てちょっと晴れがましいような気分で旅に出たい。旅先では新しい風土、新しい事物、はじめての人々等に出会い心身をリフレッシュできることだろう。そのように今年も思ったが今年も過ぎてしまった。

注解】現状からの脱却・脱出願望。

<ブログをお読みいただくに際してのお願い>

このブログの勘どころは【注解】にあります。いつも【注解】にご注目の上、次の2点を実行してください。

朝日文庫版のテキストに帰って啄木の編集・割付の巧緻を、さらに組版(字体を含む)の妙を味わってください。

【解釈】は【注解】の理解に必要最小限の内容です。【解釈】をほんとうに理解するためには右のマイリストから「石川啄木著『一握の砂』を読む」に行き、「『一握の砂』全歌評釈」の当該歌に当たってください。

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