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2011年6月12日 (日)

「我を愛する歌」の研究 23

42-43ページ

     ことさらに燈火を消して
     まぢまぢと思ひてゐしは
     わけもなきこと 

【解釈】わざとランプを消して、暗がりの一点をじっと見つめて思っていたのは、じつはたわいのないことであった。

     浅草の凌雲閣のいただきに
     腕組みし日の
     長き日記かな 

【解釈】浅草の凌雲閣の展望台で、自分の今とこれからをどうしたらいいのか腕を組んで思いつめたのだった。けれどなんの結論も出なかった。あの日下宿に帰ってから書いたローマ字の長い日記よ。

     尋常のおどけならむや
     ナイフ持ち死ぬまねをする
     その顔その顔
 
【解釈】あれは尋常なふざけ方だっただろうか、いやちがう。ナイフをふりあげて死ぬ(殺す)まねをした時の自分の顔、友の顔 。友はあんなに恐ろしがった。自分はそれほど恐ろしい顔をしていたのだ、小説が書けぬことを思いつめた果てに。

     こそこその話がやがて高くなり
     ピストル鳴りて
     人生終る
 
【解釈】ピストルをこめかみ(?)に当てて、「おれは死ぬ」。友人は驚いて「馬鹿なことはよしなさい」と止める。だんだんそのやり取りの声が高くなっていった時、自分は引き金を引く。パーン、わが人生はかくて終わる。

注解】4首共通の主題、思い詰めた時。

<ブログをお読みいただくに際してのお願い>

このブログの勘どころは【注解】にあります。いつも【注解】にご注目の上、次の2点を実行してください。

朝日文庫版のテキストに帰って啄木の編集・割付の巧緻を、さらに組版(字体を含む)の妙を味わってください。

【解釈】は【注解】の理解に必要最小限の内容です。【解釈】をほんとうに理解するためには右のマイリストから「石川啄木著『一握の砂』を読む」に行き、「『一握の砂』全歌評釈」の当該歌に当たってください。

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