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2011年6月18日 (土)

「我を愛する歌」の研究 26

48-49ページ

     友よさは
     乞食に卑しさ厭ふなかれ
     餓ゑたる時は我も爾りき 

【解釈】友よ、乞食の卑しさをきらってはいけない。かれは好き好んでああしているのではない。日本の社会組織・経済組織によって生み出されたのだ。かれも人間ぼくも人間。ぼくだって食物が無くて空腹に苦しんだ時は卑しくならざるをえなかった。

     新しきインクのにほひ
     栓抜けば
     餓ゑたる腹に沁むがかなしも 

【解釈】インクがなくなったので新しいインクびんを取って栓を抜くと、鉄くさいようなインクの刺激臭が鼻につんときた。とたんにそれが空腹を刺激して飢餓感を誘発した。切ないことだ。

     かなしきは
     喉のかわきをこらへつつ
     夜寒の夜具にちぢこまる時 

【解釈】どうにも切ないのは、喉は渇くが布団を出る気にはなれぬまま、晩秋の夜の寒さが忍び込んで来る布団の中にひたすら身をちぢめている時だ。

     一度でも我に頭を下げさせし
     人みな死ねと
     いのりてしこと 

【解釈】飢えや寒さの恐怖をちらつかせて、一度でもおれに頭を下げさせたやつら、みんな死んじまえ!と念じちゃったこと(があったな)。

注解】餓えと寒さ。

<ブログをお読みいただくに際してのお願い>

このブログの勘どころは【注解】にあります。いつも【注解】にご注目の上、次の2点を実行してください。

朝日文庫版のテキストに帰って啄木の編集・割付の巧緻を、さらに組版(字体を含む)の妙を味わってください。

【解釈】は【注解】の理解に必要最小限の内容です。【解釈】をほんとうに理解するためには右のマイリストから「石川啄木著『一握の砂』を読む」に行き、「『一握の砂』全歌評釈」の当該歌に当たってください。

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