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2011年6月20日 (月)

「我を愛する歌」の研究 27

50-51ページ

     我に似し友の二人よ
     一人は死に
     一人は牢を出でて今病む
 
【解釈】私に似た友の二人であった小野弘吉君、宮永佐吉君。東大でまじめに勉強していた小野君は夭折し、東京でゴロツキの小親分になっていた宮永君は牢を出て今病床に伏せっている。

     あまりある才を抱きて
     妻のため
     おもひわづらふ友をかなしむ 

【解釈】あまりある才能を持ちながら、その才能を実現しようとせず、ただ奥さんとの関係を思い煩って時間を費消して行く友を、遠く離れた地にいて悲しく思うことだ。

     打明けて語りて
     何か損をせしごとく思ひて
     友とわかれぬ

【解釈】友と話しをしているうちに自分のとっておきの秘め事を無性に「打明けて語り」たくなった。(ところがしゃべっていると相手が期待したほどの理解も共鳴もしてくれないのに気づく。この友にはしゃべるんじゃなかったとほぞをかむ。もうおそい。)語り終えて後、大切なものを失ったような索漠とした思いになって、別れたのだった。

     どんよりと
     くもれる空を見てゐしに
     人を殺したくなりにけるかな 

【解釈】どんよりとくもった空を見上げていたら、「我々青年を囲繞(ゐぜう)する空気は、今やもう少しも流動しなくなつた」時代閉塞の現状と重なってきて、自分の中にテロリストの心が動き出し、強権の担当者を殺したくなってしまったことよ。

注解】4首共通の主題、自分の中に他人を見る

<ブログをお読みいただくに際してのお願い>

このブログの勘どころは【注解】にあります。いつも【注解】にご注目の上、次の2点を実行してください。

朝日文庫版のテキストに帰って啄木の編集・割付の巧緻を、さらに組版(字体を含む)の妙を味わってください。

【解釈】は【注解】の理解に必要最小限の内容です。【解釈】をほんとうに理解するためには右のマイリストから「石川啄木著『一握の砂』を読む」に行き、「『一握の砂』全歌評釈」の当該歌に当たってください。

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