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2011年6月24日 (金)

「我を愛する歌」の研究 29 

54-55ページ

     とある日に
     酒をのみたくてならぬごとく
     今日われ切に金を欲りせり 

【解釈】このところ英書を買う金が欲しいと思っているわたしだが、ある日突然無性に酒が飲みたくなるように、今日突然心底から英書を買う金が欲しい!と思うことだ。

     水晶の玉をよろこびもてあそぶ
     わがこの心
     何の心ぞ
 
【解釈】水晶の玉を見つけてよろこび、それを掌に乗せてもてあそんでいると、いつの間にか緊張した思索から解放されている。この小さな透明の玉によってこう変化する心って、いったいどういう心なんだ?

     事もなく
     且つこころよく肥えてゆく
     わがこのごろの物足らぬかな 

【解釈】取り立てて言うべき事件もなくそれとともに気持ちよく肥ってゆくこのごろの生活を、私の心は満足するのではなく、かえって物足りないと感じている。不思議なことだ。

     大いなる水晶の玉を
     ひとつ欲し
     それにむかひて物を思はむ 

【解釈】大きい無色透明の水晶の玉をひとつ欲しい。それに向かって物を思ったならば、暗黒裏に進行する幸徳事件の真相が見えてくるかも知れないから。

注解】4首共通の主題、心の動きの不思議。

<ブログをお読みいただくに際してのお願い>

このブログの勘どころは【注解】にあります。いつも【注解】にご注目の上、次の2点を実行してください。

朝日文庫版のテキストに帰って啄木の編集・割付の巧緻を、さらに組版(字体を含む)の妙を味わってください。

【解釈】は【注解】の理解に必要最小限の内容です。【解釈】をほんとうに理解するためには右のマイリストから「石川啄木著『一握の砂』を読む」に行き、「『一握の砂』全歌評釈」の当該歌に当たってください。

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