« 「我を愛する歌」の研究 36 | トップページ | 「我を愛する歌」の研究 38 »

2011年7月10日 (日)

「我を愛する歌」の研究 37

70―71ページ

     叱られて
     わつと泣き出す子供心
     その心にもなりてみたきかな

【解釈】叱られてわっと泣き出す京子(満3歳と9ヵ月)の、周囲への顧慮など一切ない率直な心。そんな心持ちで、今思っていることを率直に表現したいものだ。

     盗むてふことさへ悪しと思ひえぬ
     心はかなし
     かくれ家もなし

【解釈】盗みということさえ悪いと思えない心は痛ましい。窮乏のためそこまで追いつめられた心にはもうほかに行き場はないのだから。(盗人ならば隠れ家に逃げ込めもしようが。)

     放たれし女のごときかなしみを
     よわき男の
     感ずる日なり

【解釈】既成の境遇の中で自由に目ざめた女の意識が、あてどのないまま孤独感にさらされているようなかなしみを、一人時代の最先端に立ちながら時代閉塞の現状に指一本させぬ自分もまた感じる日である。

     庭石に
     はたと時計をなげうてる
     昔のわれの怒りいとしも

【解釈】(韓国併合・時代閉塞の現状に対して何ら有効な行動に出られないで怒りが鬱積する自分を思うと)行動へ何のためらいもなく突き進み、庭石にバシッと時計をたたきつけた昔の自分の怒りがかわいいことよ。

注解】4首共通の主題、鬱屈する心。

   <ブログをお読みいただくに際してのお願い>

このブログの勘どころは【注解】にあります。いつも【注解】にご注目の上、次の2点を実行してください。

朝日文庫版のテキストに帰って啄木の編集・割付の巧緻を、さらに組版(字体を含む)の妙を味わってください。

【解釈】は【注解】の理解に必要最小限の内容です。【解釈】をほんとうに理解するためには右のマイリストから「石川啄木著『一握の砂』を読む」に行き、「『一握の砂』全歌評釈」の当該歌に当たってください。

« 「我を愛する歌」の研究 36 | トップページ | 「我を愛する歌」の研究 38 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/533861/52125609

この記事へのトラックバック一覧です: 「我を愛する歌」の研究 37:

« 「我を愛する歌」の研究 36 | トップページ | 「我を愛する歌」の研究 38 »