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2011年7月28日 (木)

(定本悲しき玩具)一握の砂以後 解説2

しかし、土岐の編集した『悲しき玩具』は刊行後百年、いくつかの重要な問題点を含み続けて今日に至っている。問題点は以下の五点である。

一、『悲しき玩具』冒頭の二首は、啄木末期近くの歌いわば「白鳥の歌」である。これを冒頭に編集した土岐哀果は軽率のそしりを免れない。

啄木はノート歌集「一握の砂以後(四十三年十一月末より)」において、見開きの左ページのみを用い、そこに歌を四首ずつ記載した。このことは右に述べたとおりである。大室精一はこの記載方式に第二歌集における、啄木の「四首単位」の編集意識を読み取った 。卓見である。

したがって第二歌集は、啄木が配列したとおりの四首単位で編集するのが、啄木死後における編集の基本方針であるべきでだった。『悲しき玩具』を上梓するに当たって東雲堂の西村陽吉か土岐哀果が『一握の砂』と同様の一ページ二首・見開き四首の編集を考えた。そしてそれを実行した。

惜しいかな、土岐が啄木末期の歌二首を冒頭に持って来たために、「四首単位」中の後半二首が次々と次ページにずれこんで行き、啄木の「四首単位」の編集という企図は最初から最後まで完全に壊れてしまった。

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