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2011年9月22日 (木)

「一握の砂以後」の性格・特徴 2

しかし、勤め人の日常(たとえば出勤、サボり、夜勤帰り等)の歌、また勤め人の家庭生活(大晦日、正月、飲酒等)の歌、もっとも多いし印象的でもある病臥の歌、医療労働者としての看護婦をうたう歌、革命やテロリストを思う歌、そして数え「五歳(いつつ)」(満4年半)の愛児京子をうたう父親の歌、妻をまた夫婦間をうたう歌、母と妻の葛藤をうたう歌等々は『一握の砂』にはほとんどなかったものである。

短歌の世界にこうした日常生活詠を創り出したのはおそらく啄木の功績であろう。

次に引くのは芥川龍之介の「文芸的な、余りに文芸的な」の一節である。
  

 日本の詩人たちは現世の人々にパルナス(文芸の世界。ここでは「文壇」くらいの意―近藤)の外にゐると思はれてゐる。

 その理由の一半は現世の人々の鑑識眼が詩歌に及ばないことも数へられるであらう。

 しかし又一つには詩歌は畢(つひ)に散文のやうに僕等の全生活感情を盛り難いことにもよる訣(わけ)である。

 ……しかし詩人たちは、――たとへば現世の歌人たちもかう云ふ試みをしてゐないことはない。その最も著しい例は「悲しき玩具」の歌人石川啄木が僕等に残した仕事である。

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