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2011年10月28日 (金)

幻の啄木歌集「仕事の後」 10

三枝の解釈を参考にしつつ、啄木のこの時期この夜の精神状態を勘考すれば、ストレスを歌の形で相当吐き出すことに成功して、ストレス以前の啄木がふっと息を吹き返すのではなかろうか。

そのとき21の歌がさらに51や53の歌が生まれたのであろう。
  夜があけて、本妙寺の墓地を散歩して来た。たとへるものもなく心地がすがすがしい。興はまだつづいて、午前十一時頃まで作ったもの、昨夜百二十首の余。
 

墓地を散歩して来て「心地がすがすがしい」とは変なものだが、啄木の生まれ育ったのが宝徳寺であり、裏手に墓地があり、遊び場が寺の境内であったことを思えば、納得が行く。(現代でも横浜の外人墓地・雑司ヶ谷墓地・青山墓地などの見学希望者・訪問者は後を絶たない。)

むしろ「たとへるものもなく」という形容句の方が興味深い。作歌=カタルシスの効用が絶大であることを示す。そしてそれは啄木と歌の新しい関係の誕生を示している。

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