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2011年10月20日 (木)

幻の啄木歌集「仕事の後」 7

天才の不思議が起こる。百合の花の香につつまれて眠るはずだったこの夜、床に入ってから突然興が湧きあがって来た。

12時(24日午前0時)ころから「こ志をれ」5首のつづきを作り始める。

作り始めはなかなか調子が出なかったらしい。かなりの推敲を経て何とか得たのがつぎの1首だった。(歌稿にルビはほとんど無い。近藤が必要と思われるルビをふった。)
  

 石一つ落して聞きぬ千仞(せんじん)の谷轟々(ぐわうぐわう)と一山(いちざん)を撼(ゆ)る 


この1首に苦労したあと、一瀉千里の勢いを得たらしい。数字はこれ以後できた順を示す番号。

 2、人みなが怖れて覗(のぞ)く鉄門に我平然と馬駆りて入る

 3、我とわが愚を罵りて大盃に満を引くなる群を去りえず
 

 4、つと来りつと去る誰(た)ぞと問ふまなし黒き衣(きぬ)着る覆面の人

 5、牛頭(ごづ)馬頭(めづ)のつどひて覗く大香炉中より一縷(いちる)白き煙す

 6、大海(だいかい)にうかべる白き水鳥の一羽は死なず幾千年も
 

 7、我常に思ふ世界の開発の第一日の曙の色

 8、西方(さいはう)の山のかなたに億兆の入日埋めし墓あるを思ふ

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