« 「一握の砂以後」の性格・特徴 7 | トップページ | 「一握の砂以後」の性格・特徴 9 »

2011年10月 4日 (火)

「一握の砂以後」の性格・特徴 8

しかし啄木が作ったのは短歌であり、しかる後にその短歌作品に内在する「短歌在来の格調」を三行書きに拠って破ったのである。

「在来の格調を破」られた短歌は短歌でありつつ、詩になったのである。こうして啄木は嘗て存在しなかった三行歌=三行詩を創造した。

その行分けは無造作のように見えるが、『あこがれ』・「呼子と口笛」の詩人石川啄木のセンスと技巧が行き亘っている。

このような作品は短歌と詩と双方において一家をなした希有の天才(啄木の外に北原白秋がいるのみ)によってしか生み出し得ないものらしい(白秋は歌を「詩」にしようとはしなかったが)。

ここに、土岐の一定の成果を除くと、その後誰も三行歌に成功しなかった原因があるのだと思われる。ついでに言う。

啄木の父石川一禎は生涯に4000首近い歌を作った歌人でもあった。父の影響で啄木は幼児期から少年期にかけて和歌の韻律を摂取したと推定される。

啄木三行歌は「在来の格調」を自在化した上での「くずし」なのである。

在来の技法を若くして摂取した後「くずし」に入ったピカソを私は連想する。

« 「一握の砂以後」の性格・特徴 7 | トップページ | 「一握の砂以後」の性格・特徴 9 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/533861/52876785

この記事へのトラックバック一覧です: 「一握の砂以後」の性格・特徴 8:

« 「一握の砂以後」の性格・特徴 7 | トップページ | 「一握の砂以後」の性格・特徴 9 »