« 幻の啄木歌集「仕事の後」 13 | トップページ | 幻の啄木歌集「仕事の後」 15 »

2011年11月 6日 (日)

幻の啄木歌集「仕事の後」 14

しかし「磯」「砂」「蟹」となると別のイメージが動員されている。山本健吉が指摘・解説するように、函館時代の詩「蟹に」には次の詩句がある(『日本の詩歌 5 石川啄木』)。

 東の海の砂浜の
 かしこき蟹よ、今此処を

この砂浜のある海は青柳町の家からはちょうど東にあった。まさに「東の海」である。

啄木にあっては「磯」は波打ち際の意である。「特に岩や石が多い所」という限定はない。したがって詩中の「砂浜」は「磯」である。そして「蟹」。

「磯の白砂に……蟹と」にはこうした海のイメージも動員されたことであろう。

同時に川崎むつをが固執したように、啄木が少年時代に訪れた青森県大間のイメージなども動員されたかも知れない。

「我泣きぬれて……戯る」にはまた別のイメージや体験が動員されたことであろう。

ただしこれらは考えて一つ一つ呼び出されたのではないであろう。一瞬のうちに動員され、即座に歌になったのであろう。

ここではこれ以上の解釈は措く。

« 幻の啄木歌集「仕事の後」 13 | トップページ | 幻の啄木歌集「仕事の後」 15 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/533861/53149972

この記事へのトラックバック一覧です: 幻の啄木歌集「仕事の後」 14:

« 幻の啄木歌集「仕事の後」 13 | トップページ | 幻の啄木歌集「仕事の後」 15 »