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2011年11月30日 (水)

幻の啄木歌集「仕事の後」 26

ついで石川はこうも言う。

 ところが鉄幹が直して「明星」に発表した歌は、
   石ひとつ落ちぬる時におもしろし万山を撼る谷のとどろき
と、なつている。
 これでは、山の上から自然に大きな石がころがり落ち、山をゆすぶるようなひびきが、谷底からとどろいてくるのがおもしろいという、客観描写で、自分から積極的にころがし落すという、はげしい感情とは、およそ反対で、作者の意図とはまるでちがつたものになつている。したがつてこの歌からは、石破という意味、感情が全然うけとられない。啄木が直されたために、感情が虚偽になつていると不満をいつているのも、当然といわねばならない。

これもほぼ正鵠を得ている。

自ら落とした石が、自然に落ちた石に変えられてはたまらない。

岩ではなく「石」であるから、そんなに大きなものではない。

それを「一」つ落としたところ、ものすごい破壊を引き起こし、ついには谷底で「一」つの山を揺るがすようなとどろきとなった、と言うのである。それを「万山」に変えられては二重にたまらない。

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