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2011年12月 2日 (金)

幻の啄木歌集「仕事の後」 27

啄木は明星に原稿を送る時にはすでに、この歌1首を自分が落とした「石一つ」になぞらえていたのだと思われる。

先に見たとおり、この歌を作ることによって歌人石川啄木のビッグバンは始まったのだった。

寛が手を入れたと思われる歌は、20首前後ありそうだが、啄木が「皆原作より悪い。感情が虚偽になつてゐる。……少し気持ちが悪い」というのは分かるような気がする。

ただし「たはむれに母を背負ひてその余り軽きに泣きて三歩あるかず」は啄木の原稿だが、「三歩あゆまず」に変えたのは寛らしい。そして啄木はこの手直しは結局受け入れた。

7月11日。

 万葉集を読む。あるかなきかの才を弄ばむとする自分の歌がかなしくなつた。

吉井の勧めであろうか、中学時代愛読書だった万葉集を再び読みはじめたのだ。

そして6月下旬に作った歌々、「石破集」に載せた歌々のうちのおそらく奇怪・異様な歌々を念頭に置きつつ、「あるかなきかの才を弄ばむとする自分の歌がかなしくなつた」のであろう。

古典を読んで深く反省する啄木がここにいる。

「明治四十一年六月・七月」の章に集めたのが以上の時期の歌である。

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