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2011年12月 4日 (日)

幻の啄木歌集「仕事の後」 28

古典による洗練 8月上旬には唐詩選や蕪村の句集(おそらくは山田三子編『蕪村俳句全集』〈内外出版協会〉)を入手して読みはじめた。

また「心の花」(7月号、8月号)に連載された北原白秋の詩「断章」にも心をうたれた。

万葉集・蕪村句集・唐詩選そして白秋の「断章」は啄木の詩神のよごれを洗い流してゆく。

8月8日の作から美しい歌が詠まれはじめる。

 ふるさとの寺の御廊(みろう)に踏みにける小櫛(をぐし)の蝶を夢に見しかな 
 

 はたはたと黍(きび)の葉鳴れる故郷の軒端ぞ恋し秋風吹けば

 愁ひ来て岡に上れば名も知らぬ鳥啄(ついば)めり赤き茨(ばら)の実

8月29日の作品には一層の進境が見られる。

 雨後の月ほどよく濡れし屋根瓦そのところどころ輝くもよし

 秋のこゑまづいち早く耳に入るかかる性(さが)もつ悲しむべかり

啄木の内部では、今読んでいる古典ばかりでなく昔愛読した古典もまた甦っていることであろう。たとえば次の歌に西行の「山家集」を見ることはできないか。

 月かげとわが悲(かなし)みと天地(あめつち)に普(あまね)き秋の夜となりにけり

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