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2011年12月 6日 (火)

幻の啄木歌集「仕事の後」 29

 9月6日、赤心館の下宿料を払えない啄木は下宿を追い出されそうになった。金田一京助が蔵書を売り払って金をつくり救ってくれた。

金田一の蓋平館主人との交渉のお蔭で啄木の下宿料は12月まで催促なしとなった。

啄木の古典摂取はつづく。9月に入って古今集・源氏物語(「野分」あたりまで?)を読み、下旬には「白楽天詩集」(おそらくは近藤元粋評訂『白楽天詩集』〈青木嵩山堂〉)「宋元明詩選」(おそらくは近藤元粋著『宋元明詩選』〈青木嵩山堂〉)を読んだ。

 ふる郷の空遠みかも高き屋に一人のぼりて愁ひて下る

 皎(かう)として玉を欺く少人も秋来(く)といへば物をしぞ思ふ

 そを読めば愁知るといふ書焚(た)ける古人(いにしへびと)の心よろしも

 秋立つは水にかも似る洗はれて思ひことごと新らしくなる

この間の成果は「明星」9月号に「虚白集」102首として集成される。

その後も作歌活動は続けられるが、「明治四十一年秋」の章は8月8日から11月26日までに作られた歌からなる。

この章の歌々は2年後に『一握の砂』5章中の1章「秋風のこころよさに」の主要部分となる。

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