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2011年12月 8日 (木)

幻の啄木歌集「仕事の後」 30

ローマ字日記の時期の短歌 明治42年4月7日、啄木はこれまで使っていた当用日記をやめ、背革黒クロースの洋横罫ノートにローマ字の日記を記し始めた。世にいう「ローマ字日記」である。

日記を書くことは啄木自身の半生を総点検する壮絶な煉獄と化した。毎日執拗に小説を書こうとするが、毎日書けないことを思い知らされる。小説が書けないということは自分が「天才」ではなかったことの証明である、と啄木は考えた。15歳でいだきはじめ、18歳で不抜のものとなった天才意識、その天才の実現を至上目的として生きてきたこの8年間。自分を「天才」でないと認めた日、それは人生の至上目的が消滅する日であり、苦闘の8年間が無に帰する日である。だから小説が書けない自分の現実をどうしても「直視」できなかった。

「ローマ字日記」は6月16日母・妻・京子を上野駅で迎えたところで終わる。

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