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2012年1月12日 (木)

幻の啄木歌集「仕事の後」 44

啄木が夕暮の最近の自然主義的な短歌を読んでいたかどうか未詳であるが、夕暮は「さまよひ」と題する16首をこの「創作」に載せている。16首中のほとんどが女との関係を詠んでいる。たとえば以下のように。

 1、別れむとする悲しみにつながれてあへばかはゆし別れかねたる

 2、わがまゝを迭(かた)みにつくしつくしたるあとの二人の興ざめし顔

 3、自棄(じき)の涙君がまぶたをながるゝや悲しき愛のさめはてし頃

 4、あたゝかき汝がだきしめに馴れ易きわれの心をのがさしむるな

 5、あたゝかき血潮のなかに流れたる命恋しき身となりしかな

新詩社の恋愛歌とはまるで違う。聖なる恋など歌っていない。女との関係から「さまよひ」出た男の心を「唯正直に表白」していると言った方が近いだろう。 

「さまよひ」の影響を見よう。3月10日東京毎日新聞に啄木の「手をとりし日」5首が載る。「明治四十三年三月・四月」の章の最初の5首がそれである(以下5首)。

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