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2012年1月16日 (月)

幻の啄木歌集「仕事の後」 46

夕暮の第一歌集『収穫』が東雲堂から出るのは奥付によると3月15日。啄木は早速入手したと思われる。

3月18日には前田夕暮の影響を超えた啄木に独自の歌々が生まれる。啄木調の成立である。

東京朝日新聞に載った「曇れる日の歌(一)」5首がそれを告げている。

 よごれたる煉瓦の壁に降(ふ)りて溶(と)け降りては溶くる春の雪かな

 手にためし雪の溶くるが心地よく我が寝飽きたる心には沁む

 哀れなる恋かなと独り呟やきてやがて火鉢に炭添へにけり

 旅七日帰り来ぬればわが窓の赤きインキのしみもなつかし

 浅草の夜の賑(にぎは)ひにまぎれ入りまぎれ出(い)で来(き)しさびしき心

こうして、凡例で述べたように「東京毎日新聞」3月10日から4月8日までの(6回×5首=)30首、「東京朝日新聞」3月18日から4月7日までの(10回×5首=)50首の、合計80首はすべて「明治四十三年三月・四月」の章に収めた。

これらは啄木の新しい自信作群であり、「仕事の後」の編集を終えた4月11日に近接した最新の歌群だからである。

幻の歌集復元によって、歌人啄木の誕生から啄木調短歌の成立までが、手に取るように一望できることとなった。

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