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2012年11月12日 (月)

石川啄木伝 東京編 28

 小説が書けなくなってからのかれの行動のほとんどは、逃避行動である。なにから逃避しているのか。自分の小説がなぜ売れないのか、を真摯に検討することからの逃避である。今の自分に何が欠けているのかを検討することからの逃避である。それらを検討することは自分の「天才」を検討することになるのである。そんなおそろしいことを検討できるわけがない。
 しかしここは地獄の一丁目である。つづけてかれの逃避行動を見て行こう。
 6月19日、夕方来た吉井と話し込む。夜になってふたりつるんで東大前の夜店をひやかしに行く。そこでふたりは美しい女を見つけるとその後をつけて行くという「遊び」を覚えた。
 これを称して「すき歩き」。今でいうストーカーである。道で会った金田一をもこれに誘い込む。
 20日、今日もやって来た並木武雄と話し込む。このだべりも小説と向き合わなくてすむ格好の避難場所である。そして暗くなると並木と「すき歩き」。
 21日、朝から金田一とおしゃべり。並木が来て1円貸してくれたのでさっそく夏座布団2枚買う。
 新詩社に行く。晶子から3円受けとって(どんな金か不明)、帰りに夏帽子を買う。留守中貞子が来て置き手紙。

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