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2012年11月18日 (日)

石川啄木伝 東京編 31

 つまりフィクションの散文を書こうとすると、言葉から言葉へ、想から想へと移るうちに、先が見えなくなるのが今の啄木なのだ。テーマになりそうな材料をやたらと捜し求め 、そのうちの一つを構想を練りあげぬままに書き始めるらしい。書くべきテーマがあり、それをいかに小説化するかという発想は見えない。編集者の目の色を窺い、文壇の動向に自らを合わせる事ばかりを考えている。
 さて、この6月22日赤旗事件が起きた。
 当日午後1時から神田錦町3丁目の錦輝館(映画や演説会などに使われたクラブハウス)で、社会主義者山口孤剣の出獄歓迎会が催された。
山口は政府のむごい言論弾圧で1年と2カ月半も投獄されていた。在京の社会主義者等約70名が錦輝館に集い出獄祝いをしたのである。閉会まぎわという夕方6時ごろ会場内に波乱が生じた。
 日ごろの官憲のあまりの圧制、集会・結社・言論・出版等の自由へのあまりの制限にがまんしきれなくなっていた若手の無政府共産主義者、大杉栄・荒畑寒村らが小さな赤旗(たて90センチ、よこ120センチほど)をふりまわし屋外へ飛び出したのである。  
 これをめぐつて乱闘を含むひと騒動となり、結局14人が逮捕された。その中には仲裁に入って仲間と警官の双方をなだめ、旗を巻かせて騒ぎをおさめた社会主義運動の指導者堺利彦・山川均も入っていた。

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