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2012年11月20日 (火)

石川啄木伝 東京編 32

 大杉、荒畑は神田警察署に拘引されたうえひどい暴行を受けた。荒畑のことを心配して署に出向いた管野須賀子も暴行を受け、神川マツ子とともに拘留された。
 神田錦町一帯でこの赤旗争奪戦が展開したのは午後6時から7時にかけてのことである。この事件がのちの幸徳事件(大逆事件)を具体的に準備することになる。  
 啄木と金田一はこの日も、暮れると「すき歩き」に出かけた。
 23日も小説は書けない。
  十時に起きて、小雨を犯して紫陽花と白い鉄砲百合を三十銭だけ買つて来た。……花を新らしくした心地はよい。
 この日のやったことも金田一とのおしゃべり、手紙書きなど。「外に貞子さんから今夜是非来てくれといふ葉書が来たが行かなつた」。おそらく貞子の母がいない日なのであろう。葉書に籠めた貞子の願いは見当がつく。啄木は記す。「恋をするなら、仄かな恋に限る。」そして前述の散文詩「二人連」「祖父」を作り、「一寸出て花瓶を買つて来た」。ちょうどその留守に貞子が来た。まことに「恋をするなら、仄かな恋に限る」?
   百合の花の香の仄かに籠つた室に寝る心安さ!

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