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2012年12月24日 (月)

石川啄木伝 東京編 48

 この部分はあとでつづきがあるので引いておいた。
 かくて今日は十二時に起されて、枕の上で三通の消息を読んだ。一つは京子の病状、また医者にかかつた事を報じてよこした妻の葉書。一つは筑紫なる菅原芳子からの長い長い手紙。どんな人か見た事はないけれど、字も優しく、歌もやさしい。この手紙にかいてよこした歌が急に数段の進歩を示してゐる。望みのある女詩人だよ。(僕のお弟子のうちでは。)そして手紙によると、一人娘なので両親の商業をつがねばならぬ身なさうで、兄弟でもあればすぐにも東京に行きたいと言つて来た。人は、殊にも女は、恋をすると急に歌がうまくなるね。まだ見ぬ人の温かい消息ほど、罪のない仄かな楽しみを与へるものはない。
 菅原芳子が啄木の指導を受けて急に歌がうまくなってきたと言う。それは「恋をすると急に歌がうまくなる」(つまり芳子が啄木に恋し始めている)からだと言う。夫からの送金もないのに郁雨の厚情にすがり、必死で京子の看病をし、姑の嫌みに耐えてがんばる妻のことは念頭からさっぱりと消えているようだ。

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