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2013年2月28日 (木)

石川啄木伝 東京編 79

 9月7日
 予は昨夜同君から貰つた五円で、袷と羽織の質をうけて来た。綿入を着て引越して来たのだつた。女郎花をかつて来て床に活けた。茶やら下駄やら草履やらも買つた。
 袷と羽織の質請けはいいとしても……。まだ金が残っている。無くなるまで遣わずにいられないのが啄木だ。
 予は一人散歩に出た。四丁目で金矢光一君に逢ふ。此人は今度高商へ及第したのだ。伴立つて方々を歩いた末、浅草に行つて”塔下苑”を辿る。
 ほうら出た、である。もっとも今はまだ「偵察」である。
 帰りにとある蕎麦屋で喰ふ。銚子も一本。帰ると十二時少し過ぎ。大門が閉つてゐた。
 赤心館を追い出された反省などどこにもない。手に金を握れば住んで2日目にはもう門限破りだ。援助の蔭にある金田一の苦衷もなんのその。

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