« 石川啄木伝 東京編 83 | トップページ | 石川啄木伝 東京編 85 »

2013年3月10日 (日)

石川啄木伝 東京編 84

 詩に託するものがこれだけとは。詩人啄木を根底で支えていた天才主義喪失のあとの思想はこれほどにも貧弱なのだ。今は詩が主戦場ではないからそれはそれでいいとして、作家としての根底が無いとあってはそうは行かない。詩人啄木が詩の分野でさえ根底を欠いているとすれば、素人である小説の分野で根底のあろうはずがない。その致命的欠陥の結果はすでに見たところである。
 しかし短歌だけはいつでもどこでも、面倒な手続きなしにできてしまう啄木である。次の一首もおそらくこの日の作である。
 故郷の空遠みかも高き屋に一人のぼりて愁ひて下る
 小説が書けない啄木は平野万里の歌会に出たり(そこで悪戯をしたり)、歌を作ったり、整理して明星に送ったり、送られてくるようになった岩手日報をめぐる思い出話を書きつづったりして、日々を消化する。

« 石川啄木伝 東京編 83 | トップページ | 石川啄木伝 東京編 85 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/533861/56856603

この記事へのトラックバック一覧です: 石川啄木伝 東京編 84:

« 石川啄木伝 東京編 83 | トップページ | 石川啄木伝 東京編 85 »