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2013年4月26日 (金)

石川啄木伝 東京編 106

 さて、原稿用紙が買えないというのだから、「与謝野氏から貰つて来た五円」(日記11月1日、既出)は7日の朝にはもうほとんど無いことになる。そしてこの日の日記は末尾につぎのような謎めいた記述がある。
  吉井君が来てゐる時、貸本屋が来たので、何気なしに徳川時代の木版本”こころの竹”三冊をかりた。著者の名は女好庵主人とあるが、春水の別号なさうで、それはそれは驚くべきほど情事を露骨にかいたものであつた。
  Hitachiya, Masako. ―― Tatsumiya, Mine. 856.  Senzoku-cho 2 chome.

 ローマ字表記の人名は1日の記述とおなじく買春の相手であろう。マサコとミネ。ヒタチヤとタツミヤは屋号であろう。千束町2丁目は分かるが、856.は分からない。番地であろうがこんな大きな数字の番地はない。356.ならある。
 難しいのはこの買春はいつのことか、である。日記が書かれた7日でないことは確かである。なぜなら、この日は平野宅から帰って、赤痢のことを教えてくれた増田のところで話し込み、昼食後は吉井が来て、夕方吉井と一緒に観潮楼歌会に出席。散会は10時少し前であった。なによりも先立つものがない。朝原稿用紙を買う金も無かったのである。

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