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2013年4月 2日 (火)

石川啄木伝 東京編 95

 夜になって、この日届いた明星を読む。第9号で10月号(10月5日刊)である。この号に啄木の歌「虚白集」102首も載る。佳作が群れている。いくつか引いておこう。
  皎として玉を欺く少人も秋来といへば物をしぞ思ふ
  そを読めば愁知るといふ書焚ける古人の心よろしも
  さらさらと雨落ち来り庭の面の濡れゆくを見て涙わすれぬ
  秋立つは水にかも似る洗はれて思ひことごと新らしくなる
  二十三ああわが来しは砂原か印しし足の跡かたもなし
  今日のみの春の日低しすこしだに早くな撞きそ寺寺の鐘
  かりそめに忘れても見まし石甃春生ふる草に埋るるがごと
  かなしきは秋風ぞかし稀にのみ湧きし涙の繁に流るる
  月かげとわが悲みとあめつちに遍き秋の夜となりにけり
  秋風は寝つつか聞かむ青に透くかなしみの珠を枕にはして
  父のごと秋は厳し母のごと秋はなつかし家持たぬ子に

 これらは兼題または結び字による題詠である。「虚白集」は『一握の砂』「秋風のこころよさに」の母胎となる。

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