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2013年4月 4日 (木)

石川啄木伝 東京編 96

 10月7日。「青地君」を7枚書いた。吉井が太田正雄(以後木下杢太郎で統一する)を連れて来た。この日から4月4日まで杢太郎との密接な親交がはじまる。
 8日、「青地君」を17枚目まで書いた。5月に書いて行き詰まった「菊池君」の焼き直しである。ただ小説が青地君の「轢死」で始まっている点は新しい。これは日露戦後文学のテーマでもあるし、1年後の詩「夏の街の恐怖」にも流れて行くテーマである 。
 10月9日「青地君」を24枚まで書いて中断。「菊池君」が書けなかった啄木に「青地君」が書ける条件は何ら加わっていない。当然の結果だ。
 9日、新聞を読んでバルカン半島の動向に注目している。ここは6年後に第一次世界大戦の発火点となる。そういう場所に特別の関心を示す啄木の頭脳は高性能のレーダーのようである。
 しかしこの能力を発揮するような小説は書けない。なぜならこういう能力が全く働かないのが自然主義なのだから。小栗風葉はその極みのような人で、その人の小説を見習おうとしている啄木なのである。
 夕方平野とふたりで上野広小路の鈴本亭に娘義太夫を聴きに行く。

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