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2013年4月 6日 (土)

石川啄木伝 東京編 97

 10日、節子から函館の宝小学校に務めてもよいかと問うてきた。京子は光子に預け、自分は代用教員になって生活費を得ようというのである。「噫!同意の旨を返事した。」
 夕方から千駄ヶ谷の新詩社で徹夜の歌会。
 翌日新詩社に栗原元吉(古城)が来て、東京毎日新聞への連載小説執筆を啄木に勧めてくれた。「五六回分を二三日中に」書いて、栗原に届けることになった。この話「八分通りまでは成功しさうだといふ。」
 日記の調子から見ると、啄木この話に浮かれたという様子はない。自信のないせいかと思われる。徹夜の頭で吉井、平野と一緒にまた鈴本へ娘義太夫を聴きに。そこには木下杢太郎も来ていた。
 13日になって大阪新報に連載50回ばかりを書くと張り切っていて、あえなくぽしゃったままの原稿「静子の恋」を取り出す。読み直すと
 我ながら面白くない。誇張してゐる。幼稚である。全体の趣向もずつと変へ、複雑にし、深くして、そして稿を改めることにした。サ、さうすると、適当な題がない。昨夜一晩で、”鳥の骸”としておいたが、それも面白くない。色々悩んだ末に、”鳥影”とすることにした。

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