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2013年5月 6日 (月)

石川啄木伝 東京編 111

 なぜこんな事を書き出したのだろう。
 大好きな煙草や茶「よりも所(す)(き)なのは」、陰謀、破壊、反逆、革命、旗、女、爆裂弾、秘密結社、暗号電報、眠り、だと言う。注の16、34、35、36、52で触れてきたが(このブログでは省略)、現在秘密裏に幸徳事件(大逆事件)が進行中なのである。もちろん啄木は知らない。しかし「陰謀、破壊、反逆、革命」はこれに通じるイメージである。「旗」は赤旗→赤旗事件に通じる。「女」は文脈上はいわゆる女であるが、「旗」との連想ととれば、すでに見た「菅野、木暮、二婦人(つまりは管野須賀子、神川マツ子)」にも通じる。「爆裂弾」この物騒な代物はまだ作られていない。しかしその試作に成功するであろう宮下太吉は、この11月10日活動を開始した(注54-このブログでは省略)。奇妙な連想をしているものである。そして連想はつぎの「赤裸々な自己解剖」へとつながる。   
 そんなら、汝(なんぢ)青木松太郎、乃ち予に、汝自身で社会を転覆する大革命を企て、且つ汝自身其一隊の先頭に立つて緑の旗を揮るの勇気があるか? 熱心があるか? (金さへあつたら、機会さへあつたら、必ず行(や)る。)――と言つてるのは噓だ。無い、悲(かなし)いかな無い。金の無い如く、其勇気も熱心も無い!
 「社会を転覆する大革命を企て、且つ汝自身其一隊の先頭に立つて緑の旗を揮る」は無政府共産の赤旗を持って街頭に飛び出し、徹底的に弾圧された事件すなわち赤旗事件の連想であろう。あの人達は今囚われて監獄にいる。あの人達のような「勇気も熱心も無い!」のが「汝(なんぢ)青木松太郎、乃ち予」だと言うのである。
 なぜ選りに選ってこんな事を連想したのか。一事しか考えられない。ツルゲーネフの『その前夜』である。

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