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2013年5月 8日 (水)

石川啄木伝 東京編 112

 わたくしは啄木の連想をこう推理する。
 啄木が『その前夜』の骨組みを「鳥影」にそっくり借りようとしていることはすでに見た。
 『その前夜』の中心人物の一人インサーロフは、オスマントルコ(オスマン帝国)からの祖国ブルガリアの解放のために、一身を捧げている不撓不屈の若い革命家である。志操も堅固で誰かさんのように下宿に来た女性と情を交わし、少しの金があると浅草に走るような人とはワケが違う。
 啄木は筋の展開上そろそろインサーロフに相当する人物を考えねばならなかった。もちろんそのかっこいい人物のモデルになるのは自分しかいない。「雲は天才である」の新田耕助のモデル石川啄木は、正真正銘日本一の小学校教師であった。だから新田耕助を主人公とする小説(の前半)は輝いていた。新田耕助は生き生きと躍動していた。
 しかし、今の石川啄木はインサーロフの対蹠にある。鋭敏な啄木の頭脳に自分の現状が反射しないはずがない。あれはロシアの1860年の小説だ。今の日本とは違う。あんな人物は今の日本にはいない。こう思いたかったであろう。しかし今年6月に赤旗事件があった。

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