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2013年5月26日 (日)

石川啄木伝 東京編 121

 

六時半頃のことだ。女中が来て、日本橋から使が来たといふ。誰かと思つて行つて見ると、俥夫が門口に立つてゐる。誰からと聞くと、一寸外へ出てくれといふ。
  “釧路から来たものだと言つてくれ。”
といふ女声が聞こえた。ツイと出ると、驚いた、驚いた、実に驚いた。黒綾のコートを着た小奴が立つてゐるではないか!
  “ヤア!”
 と言つたきり、暫くは二の句をつげなかつた。俥を返して入つた。
 或る客につれられて来たので日本橋二丁目の蓬莱屋に泊つてるといふ。予は唯意外の事にサツパリ解らなかつた。

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