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2013年6月14日 (金)

石川啄木伝 東京編 130

 12月11日。朝平野が来て、出京中の上田敏訪問に誘う。訪ねて「今後毎号昴にかく約束」をもらう。<鷗外・敏の支援を得て、白秋・杢太郎・勇・万里そして啄木ら若手執筆者が目白押しの、スバル>
  帰つてくると、北原白秋君。――予は今日虚心坦懐で白秋君と過去と現在とを語つた。実に愉快であつた。北原君の幼時、その南国的な色彩豊かな故郷! そして君はその初め、予を天才を以て自任してる者と思ひ、競争するつもりだつたと!
  戦は境遇のために勝敗早くついた。予は負けた。

 どんなに負けても、空想を駆使して負けを勝ちにしてきた啄木であった。この世で負けることほどきらいなものはない啄木であった。その啄木が兜を脱いだのは生まれてこの方この時が初めてであろう。(山本健吉のいう「邪宗門新派体」7編への感服。)
 
 (12日からの日記はない。ただ12月3日から25日まで23日分の紙片メモが残っている。この日以後今月の啄木の動向を知らせるものは、このメモとその間の「鳥影」執筆分および09年3月3日の郁雨宛書簡などである。)

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