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2013年8月16日 (金)

石川啄木伝 東京編 150

 さて、啄木の1月中旬の主たる活動は「スバル」2号の編集である。
 1月19日杢太郎が「スバル」2月号の原稿「南蛮寺門前」を持ってくる。杢太郎は去年夏に最初の原稿を書き、この1月に入って2度書き直してから持って来たのだ。ふたりは一緒に原稿を読み、それから白秋を訪ねる。昼飯は「ガス鍋の牛肉で御馳走になつた」。3人は与謝野宅に向かう。寛と白秋と杢太郎を前に啄木は「一人でイロンナ事を喋つた」。7時頃晶子の原稿「損害」をもらって辞す。
 四谷で電車を降りて、とある天プラ屋で三人で飲んだ。この二人と一緒にのんだのは今夜が初めて。北原は酔うと不断よりもモット坊ちやんになる。別段口をきくでもなく、嬉し相にしてゐる。太田はその恋――片恋のあつたことを仄めかした。予と太田は頻りに創作や思想について語つた。(僕の最も深い弱みを見せようか?)と予はいつた。(何だ?)(結婚したつてことよ!)
 自分に原因があって小説が書けないのに、それを結婚のせいにしている。自分の弱みを直視しないだけでなく、一家の主としての無責任をも直視しないし、節子の窮境をも直視しないのである。

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