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2013年8月20日 (火)

石川啄木伝 東京編 152

 1月20日。
 七時頃二畳の室で目さめた。昨夜の話が朧ろ気に思出されて、異様な感じが起つた。罰金、三度で六円、換刑――つとめにゆく――不幸、荒める生活、放恣、底をはだけた悲哀……。
  八時半に帰つた。

 朝帰りである。昨夜Masaから彼女の悲話を聞かせてもらったらしい。この女性とこの夜のこと(?)をわれわれはローマ字日記の中で再び見るであろう。
 この日は「スバル」の編集に余念が無い。原稿は連日快調に集まってくる。
 金田一は先日の「束縛」の件で相当不快を感じたらしく「遠からず三省堂の方をよして、大学国文研究室助手(二十円)になるといふ。二月になつたら此下宿から引こすと言つてゐた。」啄木のショックはさぞ深かったことであろう。もし実行されたら、啄木は大館光のとき同様下宿を放逐されることになるかも知れない。季節もおなじ一月だ。
 21日夕方平野を訪い、かれの洋書8冊を借りて菊坂の質屋に行き4円に換金した。それで「袷と羽織をうけ、ズボン下をかひ、一円二十何銭あまつた」。どういう風の吹き回しで8冊もの洋書を借りだしたのか。月末には「スバル」2月号を見た平野を仰天させ、嘆かせる手はずを今は整えているはずなのに。この8冊の洋書(質屋が4円も出したのだから高価なものだ)結局質流れとなり、平野の手に戻ってくることはない。

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