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2013年8月22日 (木)

石川啄木伝 東京編 153

 21日に起稿した小説「足跡(そくせき)」は26日には書き上げた。
 午後五時、(足跡)その一(今度の号へ出す分)脱稿。
 (足跡)は予の長篇――新らしい気持を以てかいた処女作だ。予はこれに出来るだけ事実をかいた。
 作家の苦痛。

 この小説を見ておこう。「(足跡)は予の長篇」だという。すなわち自己のこれまでの人生の「足跡」を長編小説として構想しており、脱稿分は「その一」なのだという。
 「その一」の舞台は「S村」すなわち渋民村の尋常高等小学校。時は「明治四十年四月一日」の1日。啄木が「明治四十丁未歳日誌」の4月1日の分に書いた辞表提出事件を枠にして、その枠の中に石川啄木の教育実践・「雲は天才である」以後をはめ込んだもの、と言える。 
 主人公は代用教員千早(ちはや)(たけし)、もちろんモデルは石川啄木自身。女性教師並木孝子は堀田秀子、安藤校長は遠藤忠志校長、検定上がりの秋野訓導は秋浜市郎訓導、村会議員・学務委員東川は渋民村助役・学務委員畠山亨、がそれぞれのモデルである。「予はこれに出来るだけ事実をかいた」とあるように、事実をそのまま小説化したと見てよい。

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