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2013年8月24日 (土)

石川啄木伝 東京編 154

 この小説は啄木小説ベスト5編を選ぶなら、そのうちの1編に入るであろう。なにがすぐれているのか。
 1、日本一の小学校教員石川啄木の1906年(明39)秋以後の教育実践およびそれをめぐるエピソードが大量に描かれていること(ことに秋の「朝読(あさよみ)」、冬の生徒を自宅に集めての塾形式の学習指導は感動的である)。したがってこの限りでは、「雲は天才である」の前半(この部分は傑作なのであった)を継承する小説という意義を持つのである。
 2、それは取りも直さず「雲は天才である」(前半)とならんで、10年後いや40年後の日本に出現する進歩的・民主的教師像の最初の文学的形象化でもあった。
 3、明治40年の東北の一寒村渋民村の尋常科新入生の入学手続き時の教師と生徒父母とのやりとり、新年度学齢児童数の就学歩合の活写等は「国民皆教育の実像をえがきだして」おり、「農民の疲弊がじかにきこえてくるようである」 。
 4、小学校教員と村役場の具体的な関係の描写も資料的価値がある。

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