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2013年9月16日 (月)

石川啄木伝 東京編 165

 そして貸本屋がもってきた艶本(男女の性交渉を絵や文章で表現した本-大辞泉)「当世小紋帳」に読みふけり「夜はくだらぬことに時間をつひやして二時電燈がきえたまで」。
 2月5日、北原を訪うも留守。もちろん「鳥影」出版の件だ。
 2月6日「近頃下宿からの督促が急だ」。北原が来てくれたのに女中のまちがいで帰してしまう。朝日新聞社にゆき、佐藤北江と明日の会見の約束をし、観潮楼歌会は欠席して浅草へ。この日はめずらしくも活動写真と馬肉屋での夕飯で帰宅。「北原を待つたが来ず、十一時頃寝る。」
 2月7日。
 昼飯をくつて出かけて北原君をとひ、天プラを御馳走になる、今日は鈴木氏が不在だからといふので、辞して春陽堂にゆくと日曜で休み、約の如く朝日新聞社に佐藤氏をとひ、初対面、中背の、色の白い、肥つた、ビール色の髯をはやした無骨な人だつた、三分許りで、三十円で使つて貰ふ約束、そのつもりで一つ運動してみるといふ確言をえて夕方ニコニコし乍らかへる、此方さへきまれば生活の心配は大分なくなるのだ、
 金田一はこれを祝し、「フロツクその他」を質に入れて、天ぷら屋で夜中の12時まで飲ませてくれた。
 また啄木は昨日送られてきた綱島梁川の書簡集を古本屋で50銭で売ってしまった。『あこがれ』時代に心酔し、一昨年9月札幌で「綱島梁川氏を弔ふ」を書いた啄木であるが、その後の小樽・釧路の生活および上京後の生活は、かれの中から梁川の浪漫主義を逐い出してしまったのだ。

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