« 石川啄木伝 東京編 165 | トップページ | 石川啄木伝 東京編 167 »

2013年9月18日 (水)

石川啄木伝 東京編 166

 2月8日は「多事な日であつた、十時半起床、すぐ出かけて貸室をみて」歩いた。家族を迎える準備だろう。しかしこの日の「多事」を見て行くと、それがどこまで本気なのか疑わしい。心から家族を迎えようというのではない。その不誠実は函館の節子をますます郁雨の側に追いやっていることだろう。
 十二時頃春陽堂に行つて編輯の本多といふ人にあひ一時間談判の結果、嘗てやつておいた(病院の窓)稿料二十二円七十五銭(一枚二十五銭に値切られた)を貰ひ、すぐ北原君へゆき、喜んで貰ふ、又すぐ二人で永田町二ノ二十七に鈴木鼓村氏をとひ、初対面、面白い人、(鳥影)のことを頼み、四時間遊び、朝飯も昼飯もくはぬところへソバを御馳走になつて夕方辞す、
 とうとう「病院の窓」の原稿料を手に入れた。「一時間談判」が示しているように、とても活字にできない原稿に金を払うのは春陽堂としてはその金をどぶに捨てるに等しい。鷗外の口利きでなければ原稿を突き返したところであろう。
 さあ、金が入った。遣わずにいられないのが啄木だ。家族のことは意識の外に行ってしまう。
 それから北原と二人で浅草にゆき、新松緑でのみ、ハヅミで或ソバ屋へつや子すみ子をよぶ、(例の葉書一件の女、顔を見ようぢやないかといふので)

« 石川啄木伝 東京編 165 | トップページ | 石川啄木伝 東京編 167 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/533861/58202781

この記事へのトラックバック一覧です: 石川啄木伝 東京編 166:

« 石川啄木伝 東京編 165 | トップページ | 石川啄木伝 東京編 167 »