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2013年10月12日 (土)

石川啄木伝 東京編 178

 3月6日は観潮楼歌会だが、夜勤のため欠席。森鷗外に申し訳の手紙を書く。「スバル」2月号における短歌軽視の編集は観潮楼歌会を主宰する鷗外への事実上の批判になっているので、言い訳の文面はきわめて鄭重である。末尾に「若し何日か池辺主筆にお逢ひの折も候はゞよろしく御申添置を奉願上度、さすれば小生の幸ひこれに不過候」と付け加えることも忘れない。
 3月8日、届いたばかりの「スバル」3月号で鷗外の「半日」を読んで「……恐ろしい作だ――先生がその家庭を、その奥さんをかう書かれたその態度!」と記す。鷗外十数年ぶりの小説が「半日」であった。明らかに自然主義を摂取しているが、そこに留まらない鷗外の高さがある。自己と妻と母と子とその全関係としての家庭を、さらに時代の風潮までを正確に対象化する冷静沈着な目がある。
 それらが全く出来ない啄木が「恐ろしい」と思うのは当然であろう。その鷗外が6日の手紙への返事をくれた。

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