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2013年10月18日 (金)

石川啄木伝 東京編 181

 3月10日。
 七時頃に起きた。雨。今朝の新聞は面白かつた。昨日の議会の三税廃止案の舌戦も愉快だ。多数党の横暴! それが却つて反語的に面白い。監獄から出た許りの或る男が八銭の飲食代に困つて小刀をふり回し、ランプをたゝきおとして火を放ち、そこからノコノコ出てトある橋の上で十二になる女の児が子供を負つて子守唄を唄ひ乍らくると、エヽ面倒臭いといつてそれを河の中につきおとしたといふ。一方には大学生で行方不明になつたのがある。又一方では奉天会戦の時一軍医が繃帯まきのいそがしさに発狂して、何をいひつけてもニヤニヤ笑つたといふ話がある。また実子をしめ殺した話がある。……生きた世の中の面白さ。あゝ、それと予との間に何の関係がある。予は戦ひたくなつた。
 小樽日報・釧路新聞で養われた世の中を見る眼が開かれた。これは文学者の狭い世界にこもったこの1年は閉じられていた眼であった。東京朝日新聞社に務めたのでこの眼がよみがえったのである。

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