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2013年10月22日 (火)

石川啄木伝 東京編 183

 勤めに要する時間は午後の約4時間と往復の通勤時間だけなのだから、小説を書く時間は保証されている。その時間を啄木は貸本屋から借りた小説を読んだり、ジャーマンコースでドイツ語をやったりしてつぶしている。
 そのくせ与謝野寛が「創作の事について真面目になつてゐる」のを見ると、「あゝ、与謝野氏は、小説のために真面目になつてゐるのではない! 生活の為に!」などとピンぼけの批判をしている(日記3月13日)。自分だって生活のために小説を書くべく上京したのだ。
 3月16日「……財布には鐚一文ない」。そしてもう借りるところもほとんどない。19日「平出によつて一円かりる」。
 20日島崎藤村の『春』を貸本屋から借りて読んだ。啄木には共感するところの非常に多い小説であっただろう。翌21日藤村を浅草新片倉町に訪ね、歓談している。なおこの訪問の前の昼過ぎ与謝野宅で上田敏に会い、「(足跡)の女教師が面白い」と言ってもらった。鷗外の葉書にもあったが、「足跡」はこの両大家が賞めてくれるほどの作品ではあったのだ。

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